子育て支援と子どもの自由

15.08桜花写真②

桜花幼稚園

細野邦子

夏休みに入ると、テーマパークやイベント会場だけではなく、ホテルやレストラン、おしゃれな避暑地など、本来大人のレジャー施設に、少子化って本当なの?と思うほどに、子ども達の姿を目にするようになりました。 少子化の為、社会全般に子育てを優遇する空気がありますが、親の負担の軽減、又は親の楽みを重視したものが多く、子どもの為と言いながら、子どもを拘束する事が多くなっているように思います。
 又、安心・安全が強く言われるようになり、親子共に細かな干渉を受け、守られているようで逆にストレスが多くなっているようにも思います。この30年余りの間に、子どもの日常から自由に活動できる環境が驚くほど減ってしまいました。今の時代、幼児が通園鞄を提げて一人で往来を歩いていたら、即通報、即保護ですが、昭和の終わりごろまでは子どもだけでの登降園が普通に行われていたものです。
 更に遡って、本園に保存されてきた昭和20年代の保育日誌を見ると、週ごとの「お約束」と称してこんな事が書かれています。「さようならをする前におうちへ帰らないようにしましょう。」これは、勝手に帰ってしまった子どもが何人もいたという事で、それを幼稚園の責任というより、子どもに注意するという形になっているのが、現代との大きな違いだなあと思います。
 又大人に送ってもらわずに登園するのが望ましいという趣旨の事も書かれています。当時は幼児であっても、自由に往来を歩いていたのですね。
 その一方で「なれなれしく話しかける人に、だまされないようにしましょう」などと、今と変わらない注意も促され(昔は『人さらい』『人買い』など恐ろしい言葉がありました)決して安全な時代というわけではなかったのがうかがわれます。
 でも地域には、子どもを見守る自然な体制があったのでしょう。親も又、子どもに付きっきりではないけれど、いつも子どもを案じ、子どもが帰ってくるのを待っていたのだと思います。些細な行動を干渉される事もなく、悪い事や危険な事は、皆で注意してくれるという環境の中で育っていた子ども達は、時に幼稚園や学校で厳しくされる事があったとしても、自分らしくある事が保たれ、主体性を育ててゆく事ができたのではないかと思います。
 今の時代に生きている子ども達にも、監視されるのではなく見守りの中で過ごす時間と空間の自由を、保障してあげたいと思うのです。その為の環境の工夫が、今の幼稚園の課題ではないかと改めて思うのです。