幼稚園先生ってすごい!

幼稚園先生ってすごい!

西ヶ丘幼稚園
四條賴明

 9年前に、38年勤めた小学校教員を定年退職し、ご縁があって西ヶ丘幼稚園にご厄介になり、現在に至っています。 幼稚園教師の仲間入りをして、衝撃を受けた事がいくつかあるんです。 その一つが排泄指導です。入園したての年少さんがトイレ前のホールで、トイレ指導を受けているんです。一人一人に、パンツの上げ下げから便器の使い方などを教えていくのです。もちろん自分でできる子どもも何人もいます。でも、「ママに会いたい」と言って泣く子。先生はそういう子を抱っこしながら、他の子のお世話をしているのです。うまくできないと泣く子、幼稚園のトイレ嫌と抵抗する子、ホール内を駆け回る子…。そこは戦場さながらなんです。  しかし、先生はといえば(1学級を複数でお世話)、決して子どもを叱らないんです。笑顔さえ浮かべながらやっているんです。  そして一週間経ち、10日経ってくると見違えるように変わって来るんです。自分でできる子がぐっと増えるんです。泣いている子がぐっと少なくなってくるんです。“あれ?、あの子、この間は先生と手をつないで便器の前に立ってたのに、一人でやってる”。“あの子自分でパンツ下げてる”。その変わりようにもう感動してしまいました。  どこの園でも見られるこのような光景。私は、小学校1年生を何回か担任しまたが、排泄指導で困った事など一度もありませんでした。今目の前で展開している指導があったからなんだと、ビックリするやら、認識を新たにするやら…。“すごい!”と唸ってしました。  今年の年少担任のある先生が4月始めに言ってました。「園長先生、私のクラス、オムツしてる子が2/3います。どうしましょう。」。ニコニコしながら言ってるんです。「どうしましょう」と言いながら、どうするかちゃんと分かっているんです。一ヶ月後気になっていたのでどうなったか尋ねました。「後二人です。それも間もなく全員目標達成です。みんなトイレでできますよ。ハハハハ。」。表現の仕方はそれぞれですが、先生達ってみんなこうなんです。  「ハハハハ」って笑ってますが、それは大変な仕事です。でも、みんな子どもが大好き、幼稚園が大好き、大変な仕事をも楽しんじゃう、頑張る事を楽しいと思う先生ばかりなんです。すごい!  指導の仕方は子どもによって違うんですが、例えば、オムツを取ってパンツに替えちゃうんです。もちろん強制はしません。本人の納得の上でです。そして、「したくなったらパンツにしていいんだよ」とお漏らしを勧めるんです。お漏らしできた事を一つの成長としてすごく褒めるんです。新しいパンツにしてあげると、気持ちよさが分かるんです。そんな経験を繰り返してだんだんトイレでできるようになるんです。すごい!  排泄指導って、食育と同様、三歳児にとってすごく重要だという事を知りました。人間としてこれから立派に生きていく基礎中の基礎なんですね。  これって、実は子どもがすごいんですね。子どもって、自分の力でできるようになりたいってみんな思ってるんです。自分自身を成長させる力をみんな持っているんです。もう一つすごいのは、友達がいるっていう事。あの子が頑張ってるから私もって。できたお友達を「いい子いい子」し合うんです。共感共有ができるんですね。お家でも頑張ってくれています。家ではできても、幼稚園のトイレは子どもにとっては壁なんです。その壁を、友達と一緒に先生に応援されて自分の力で乗り越えていくんです。何て素敵なんでしょう。

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