入園式を前に……

4月入園式

耕雲寺幼稚園・第二耕雲寺幼稚園

園長 武田義正

  今年も年長さんが、幼稚園を巣立っていきました。
  私は、子どもたちの顔を一人ひとり見て、「この子の10年後の姿は?20年後は?50年後は?70年後は?」と想像をしてみる癖があります。逆に年齢を積み重ねた方とお会いすると、「若い時はどんな恋愛や仕事をしていたのか?子どもの時はどんな少年少女だったのか?」と思いを巡らす習慣もあります。


 4月8日はお釈迦様のお誕生日、花まつりです。
 毎年の花まつりで、子どもたちに話しをしますが、やはりそのクライマックスは、生まれたばかりのお釈迦さんが、7歩歩いて天と地を指差し、「天上天下唯我独尊」と言うところです。「この世の中で、私は唯一の尊い存在ですよ。」ということです。
 「そんなばかな、いくらお釈迦様だからって、生まれてすぐには無理でしょう。」と、誰しも思うところでしょう。
  ある年、入園間もない年少児が、教室にも入らず、門の前で声高々に泣き続けていました。先生がなだめても何を言っても泣きやみません。4月にはよくある光景です。丁度その時訪ねて来たある和尚さんがその様子を見て、「まるで、天上天下唯我独尊だなあ。」とおっしゃったのです。わたしは、それを聞いて、「ああ、そういうことだったのか」と、目からうろこが落ちたように思いました。
  お釈迦様も、生まれた時、大きな産声をあげられたに違いありません。
  「オギャーオギャーオギャー」という産声をきいて、母親であるマーヤ夫人は、「この世にこれ以上尊いものがあろうか。」と、思われたに違いありません。
  その赤ちゃんの産声は、「天上天下唯我独尊、私はここにいますよ。」と心に響き渡ったに違いありません。そして、私たちの誰もが、かつてその「天上天下唯我独尊」の産声をあげ、この世にたった一つのかけがえのない存在として生まれてきました。


 今はかわいく元気な子どもたちも、これから生きていく中で様々な困難に出会います。 
 勉強や恋愛に悩むでしょう。年をとり、病気にもなります。(私も昨年体を壊して手術を経験し、その恐怖を知りました。)そして、いずれは最も悲しい別れも経験するでしょう。        
 「そんな辛い思いを子どもにはさせたくない」と親なら思うでしょうが、それはどんな人でも避けることができません。
 子ども自身が強くなってくれるしかないと思います。周りの人を大切にし、そして周りの人に大切にされる人になって、困難を乗り越えられる強い心の持ち主になってくれるしかないと思います。そのために、「自分は大切な存在なんだ」と思える子どもに育ててください。


 もうすぐ新しい園児たちが入園してきます。唯一無二のかけがえのない子どもたちに会うのが楽しみです。