故郷の原風景

15.03 焼津「故郷の原風景」写真

焼津幼稚園

相田 早苗

 昨年、大変ショックなニュースを目にしました。皆さんもご存じの通り、2014年の人口動態調査で、外国人を含む静岡県の人口減少が北海道に次いで全国ワースト2位なのだそうです。転出者が転入者を上回る社会減もワースト2位であるということに、静岡県民として大変悲しい思いがしました。その理由について見聞きしたことから、大きく分けて2つの理由があるようです。ひとつは、震災以降東南海沖地震の影響が懸念され、津波の心配も高いこと、そしてもうひとつは、雇用の場が減少しているということだそうです。他県に流出していく年齢層としては、若者や子育て世代が多いそうで、都心部の大学に進学した若者が卒業後に戻らず都心部で就職してしまうというケースが増えていると聞きます。
 両親の転勤等で他県から引っ越しをされてきた保護者が口を揃えて言うのは“静岡は、気候もいいし食べ物もおいしい。人もやさしい。とても住みやすい場所”ということです。こんなに“良いところ”なのに、人口が減少していくなんて、本当に寂しい限りです。
 
幼稚園に通う子ども達は、地域の中で育ちます。地域の人々、地域の産業に触れたり雰囲気を感じ取ったりしながら育っていきます。私共の幼稚園は焼津市にありますが、かつての勢いほどではないにしても地域には漁業色もあり、海や港、魚に親しむ機会もあって、そんな時は、子ども達も目を輝かせて楽しんでいます。魚好きの子も多く、“まぐろ”“かつお”“さば”“あじ”などよく口にする魚の名前は、生活の中で子ども達の会話の中でもよく聞かれます。
 
今の時代、そこに住みながらも、産業も含め地域の特色を感じ取る機会が減っています。未来を生きる子ども達には、自分が住む場所、地域、自然環境に関心をもって、その良さに触れる経験を積極的にして欲しいし、自分の育った場所を大好きになって欲しいと思います。生まれた土地でのびのびと成長し、安心して暮らしていけるようになって欲しいと思うのです。成長していく過程では、自分の夢の実現のために生まれた土地を離れることもあるでしょう。しかし、故郷で育まれた原風景は、心の潤いとなるに違いありません。
 
雇用問題や地震災害対策など私達の力が及ばない部分も多いですが、地域・とのつながりを子ども達の園生活にも大切に取り入れながら、周りの人々や生活、環境や産業への関心を子ども達の中に育んでいきたいと思います。