「お得」=幸せ!?

15.01蒲「エッセイ」写真

蒲幼稚園

大貫 ななみ

 新年明けましておめでとうございます。子どもたちの元気な声が幼稚園に戻ってきました。寒さも忘れて園庭で飛び回る子どもたちの生命力に、この上ない喜びと幸せを感じます。悲しいことに、世の中では虐待や子どもの貧困など重いニュースが珍しくなくなってきました。どの子にも明るい未来が保障されることが当たり前の世の中でありたいです。
 ここ数年「…これはお得だね。」と言うことをよく聞くようになりました。「お得」であるかどうかが、世の中の価値判断の一つになっていることを感じます。生活の中で自分も無意識のうちに損得勘定で選択していることを感じます。できるだけ無駄のない生き方をしたいというのは誰しも本音ではないでしょうか。
 
「この園はいろいろやってくれるからお得なのよ。」という会話を街中(まちなか)で耳にして違和感を覚えた事があります。「お得」とは誰にとってあるべきかと言えば、それは子どもの人生にとってでなければなりません。幼児期には、一見無駄と思われる意味のないようなことも、全てが大事な経験です。考えたり試したり、失敗や成功を通して体で覚えていくことで、後の学齢期にその一つ一つが知識と結びつき、その子の核となっていきます。短い期間にいろいろなことを身につけさせてくれる効率の良い幼児教育は、一見「お得」に見えて幸福の享受のようであり、親から見れば子どもにとってこんないいことはないように思えます。
 しかし、長い人生を生き抜いていく子どもに必要なことは、数々の無駄な寄り道にあります。それに気づかないのが子育ての一番難しい所ではないでしょうか。より早く、より賢く…と願う親心を受け止めつつ、子どもの寄り道にある大切な価値を見つけて親に伝え共に喜び合うことが、私たちの大事な仕事の一つであるように思います。