子ども基本法・はじめの100か月の育ちビジョン

 令和5年4月にこども家庭庁が発足し、「こどもまんなか社会」を目指して様々な政策が打ち出されました。特に注目されるのは「子ども基本法」です。従来、子どもの基本的人権を国際的に保障するために「児童の権利に関する条約」(条約の4つの原則(生命、生存及び発達に対する権利・子どもの最善の利益・子どもの意見の尊重・差別の禁止))が定められていましたが、これが条約から法律として位置付けられることで、実行力が伴うようになりました。

 子育て家庭への支援も徐々に充実し、“こども未来戦略MAP”も策定され、若い世代が希望どおり結婚し、希望する誰もが子どもを持ち、安心して子育てできる社会、子どもたちが笑顔で暮らせる社会を国は目指しています。“こども未来戦略MAP”はこちらhttps://www.cfa.go.jp/resources/kodomo-mirai)。これらも含め、これからは子育てに対する支援の拡大がさらに加速していく世の中になることが期待されます。

 また、「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン(はじめの100か月の育ちビジョン)」(https://www.cfa.go.jp/policies/kodomo_sodachi)も令和5年12月に閣議決定されました。今回はこの「はじめの100か月の育ちビジョン」について紹介します。

 「はじめの100か月」とは妊娠中から小学校1年生までの約100か月間を指し、この時期は脳の発達が著しく、人格の基盤が形成される重要な時期です。この時期に、心と体、それを取り巻く環境のすべてがウェルビーイング、いわゆる「幸せ」であることが、その後の、生涯にわたる幸せにつながっていくのだということです。

 ウェルビーイングとは?                                        「はじめの100か月の育ちビジョン」では、「幸せな状態」を 身体、心、それを取り巻く環境や社会の状況、 すべての面で良い状態にあることとして捉えており、 これを専門用語で「ウェルビーイング」と呼んでいます。身体、心、環境や社会の3つがどれも良い状態であることがとても大事だといっています。この3つをバイオサイコソーシャル(バイオ(身体的)サイコ(精神的)ソーシャル(社会的))といい、これらが良い状態であることを保障することでウェルビーイング向上につながっていきます。

 「はじめの100か月」という重要な時期を「親だけでなく、社会全体で、この大切な時期のこどもと親を支えて、応援しよう」と以下の5つのビジョン(めざすべき姿)にまとめています。

<幼児期までのこどもの育ちの5つのビジョン>                           1 こどもの権利と尊厳を守る                                   2 「安心と挑戦の循環」を通してこどものウェルビーイングを高める                 3 「こどもの誕生前」から切れ目なく育ちを支える                         4 保護者・養育者のウェルビーイングと成長の支援・応援をする                   5 こどもの育ちを支える環境や社会の厚みを増す

 誕生から入園、小学校入学と、かかわる機関が変わっても、親子を切れ目なく、国を始めとした社会全体で支える必要があるため、このビジョンを策定したようです。また、保護者ももちろん大事ですが、地域の方々など、これまで子どもに直接かかわりのなかった方にも広く考えを共有することが 「はじめの100か月の育ちビジョン」の重要なポイントの一つとなっています。

 今の子育てしにくい背景には、子どもに関わりを持たない人の増加があると考えられていますが、子どもにとって周りの人々が応援してくれる存在であることはとても重要です。子育てに関わらない人も、みんなで子どもを支えることが、巡り巡っていい社会になるというビジョンなのです。これをきっかけに、世の中みんなで子育てをしていこう!という雰囲気になると良いなと思います。

 この「はじめの100か月の育ちビジョン」は、保育関係者や子育て家庭の間でも認知が十分ではないため、今後このビジョンを広めることがとても重要です!!子どもに関わりを持たない人も含め、皆でこのビジョンを共有し、共感し、広めていくことで、皆で子どもを支える「こどもまんなか社会」を作っていきましょう!!子どもは社会の宝です!!

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