心が一つに

心が一つに

ゆきよし幼稚園
園長 植田 美津子

 「今日も元気です」「みんな仲良しでしです」「やる気で頑張ります」  これは、これから厳しい社会を生きていく子どもたちを、どんなことにも負けない「心も身体も元気なたくましい子」、「誰とでも仲良く出来る思いやりのある子」「やる気のある頑張りやの子」に育てたいというゆきよし幼稚園の園目標に向けた合言葉です。  そんな子どもたちの心も身体も大きく成長させてくれる行事の一つに、年長の“お泊り保育”がありますが、コロナ感染症の影響で、この2年は“お楽しみ会”と名前を変え、感染対策と育ちを考慮しつつ、子どもたちにとって幼稚園最高の思い出に残る日になるよう試行錯誤しながら行っています。  今年も、年長担任を中心に4月から準備を始め、自分だけのTシャツ作り、記念のお土産、園バスで大きな公園に行き、普段出来ない遊具やゲーム遊び、すいか割り、夕方の屋上で“だるまさんが転んだ”、キャンプファイヤーなどなど、盛りだくさんの計画を立てました。  ところが、公園の下見、細かい流れ、担当、用具の確認、出し物の練習、すっかり準備も整った前日の夕方、富士市内で700人を超える感染者が出たとの発表を受け、密を避ける為にバスで公園へ行くことを中止、感染対策を強化し園で行うことに変更しました。  雨の場合の準備はしていたものの時間設定が違う為、急遽晴れた場合の園で行う活動に練り直し、保護者へ連絡、先生たちが戸惑わず安全に出来るよう、新しい計画表、担当表を作り次の日に備えました。   そして当日、先生たちに変更点を伝え、今から始まることの楽しみと、少しの緊張でワクワクの子どもたちを迎え、“お楽しみ会”の始まりです。  ところが、記念のおみやげ作りが終わり、次は園庭で“宝探しゲーム”、「外に行こう!」と、言った途端に雨が降りだしました。昨夜の予報では雨ではなかったはずのに…。天気と子どもたちの様子を見ながら外で予定していた活動をお遊戯室に変更。雨雲レーダーを見て「キャンプファイヤーだけなら外で出来そう!」と、外に火の準備をしましたが雨は止まず残念。しかし、お遊戯室の入り口から園庭で燃える火を見ながら“燃えろよ燃えろ”を歌い、室内に作った火を囲んでゲームやダンス。全員で踊った“ジャンボリーミッキー”は最高に楽しかったです。最後は、軒下から園庭の空に上がる花火。「綺麗!年長さんだけ見ていいの?」と、皆にも見せてあげたい優しい子どもの言葉に感動し、花火が上がるたびに歓声をあげ、皆で笑いあい幸せを感じました。  今回、急な変更があっても、先生たち全員が自分の出来ることを考え動いてくれたこと、子どもたちを待たせたり、戸惑わせたりすることなく心から楽しませてあげることができたこと。先生たちから「良かった、無事に終わった。今日は、本当に楽しかった!」の言葉が一番に聞かれ、皆への感謝と清々しい達成感で一杯になりました。  私は日頃先生たちに、「先生が笑顔で保育を楽しまなければ、子どもたちを楽しませることは出来ない」「誰もが『今日来て良かった』と思える温かい幼稚園にしたい」と、言っています。まさに今年は外にも出られない、慌ただしい“お楽しみ会”でしたが、皆の心が一つになった、楽しく温かい“お楽しみ会”でした。  お迎えを待つ子どもたちから「楽しかった!」「まだ帰りたくないね」「またやりたい」と、来た時以上にテンションの高い声。  今年も卒園前、「幼稚園で一番の思い出は?」の質問に「お楽しみ会!」と、答える子が沢山いそうです。  でもやっぱり、夕方の屋上で子どもたちと「だるまさんが転んだ!」やりたかったなぁ…

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