人類のニュータイプ

人類のニュータイプ

若竹幼稚園
山村 伊津子

 今、発達障害といわれる子が増えています。自閉症スペクトラム、グレーゾーンといわれる人たち、子どもだけでなく成人した大人の中にも診断される人が増えてきました。研究が進んで診断がつくようになったこともありますが、実際増えているという実感を持っている方も多いでしょう。  研修で勉強したり、診断されている大人の方の話を聞いたりするうち、自閉症の人たちは普通の人と違う思考回路を持っているらしいとわかってきました。普通の人と違う、それは「障害」なのでしょうか。彼らの思考方法や感覚が、私たちと違うだけで病気ではありません。確かに普通の人の社会で暮らすには障害が多いでしょうが、それは「普通」の社会が彼らにとって障害になるという意味ですね。「普通」とはなんでしょうか。今の社会の多数派が「普通」といわれていて、その多数の人たちの考えにより社会が動いていきます。国が違い時代が違うと、「普通」は変わっていきます。  もし自閉症といわれている人たちが人類の主流派だったら、今とは全く別の文明が築かれていたかもしれません。ダーウィンの進化論では、より環境に適応した生物が生き残って進化し、今の人類に至ると考えられていました。だから私たち人間が地球に最も適応し、高度に進化した生物なのだ、万物の霊長なのだと。しかし今では、ある生物が生き残ったのは偶然と考えられる場合もあるといわれています。人類の遠い祖先の弱々しい脊椎動物が生き残ったのは、全くの偶然だったのではないか。もし生き残れていなかったら・・・。進化の場面場面で違う選択がなされていれば、人類の主流派が今と違っていたかもしれません。  今の人類(普通といわれる主流派)でなければ高度な文明が築けない、というのは傲慢な考え方でしょう。今自閉症といわれる人たちが築いた文明の中では、今普通といわれる人が「発達障害」と診断されることでしょう。症状としては「決められたことを続けられない、守れない」「同じことを繰り返すとすぐ飽きてしまう」「集中力が続かない」とか、言われそうです。  自閉症が増えているのは、もしかしたら人類の進化の一場面なのかもしれません。彼らは、私たちの次に来るものたち、人類のニュータイプなのかもしれません。  (写真は園の芋ほり風景です。本文とは直接関連がありません。)

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