祈るこころ

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御殿場聖マリア幼稚園

吉田公美子

 5月のさわやかなある日の朝(我が園では“マリアさまの日”として大切な日)、子ども達は手に手に一輪の花を持って登園してきます。聖母子像の前で待ちかまえている私の前で止まり、嬉しそうに花を差し出します。一緒に手を合わせて祈ります。“マリア様、いつも私を守ってくださり、ありがとうございます。これからも見守っていてください。”その時、私は子どもと一緒に目をつむり、手を合わせているのですが、そっと片目で子どもの表情を盗み見ます。子どもの表情の真剣なこと!!時に祈る言葉は“病気で入院しているおばあちゃんを助けてください。”であったり“昨日お母さんから叱られました。悲しいです。”だったりします。私が声に出してその子の心を代弁するのです。
 自分より大きな力にすがる、という行為は人間にとって自然なことと思います。力に限界のある人間ですから、何か大いなるものに頼り、ゆだねるという心持ちは人間に備わった本能に近いものではないでしょうか。頼るだけでなく、畏れ敬い、感謝する気持ちこそ他の生き物には見られない、人間が持つ独自の感情だと思います。小さかった時の自分の心をさぐってみると、漠然とした不安感の中にいたな、と気づきます。まだ一人では生きていけない小さな子どもは、周りで起こっていることがはっきりとは把握できずに、何とはなしの不安を抱えているのではないでしょうか?
 宗教心・・というほどのものではなくても子どもが偉大なるものに守られ、助けられていることに安心と感謝の気持ちを持つことは難しいことではないのだと、日々の子どもとの生活の中で感じます。運動会や遠足の日の朝、“素晴らしいお天気を下さった神さま、ありがとう”と唱える私たちです。守ってあげるべき大人の私でさえ、子どもを完璧には守りきれないことがある。だから私は毎日祈ります。私たちの限界を超えた偉大な方に、この小さきもの達をお守りください、と。