優しさ

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吉原聖母幼稚園

園長 西村 眞理子

 吉原聖母幼稚園はモンテッソーリ教育法を実践している幼稚園です。クラスは縦割り編成、3歳・4歳・5歳の子どもが一緒に過ごしています。
 ある日の昼食時、年少のKちゃんは食事に時間がかかり一番遅くなり毎日泣いてはいますが、この日は幼稚園中に響く声で大泣きでした。周りにいる子どもたちは「遅くても大丈夫!待っているからね。」と優しく話して諭しますが聞く耳を持ちませんでした。
 同じテーブルに座っていた年長のO君「Kちゃん!お兄ちゃんあとフルーツだけ、でもねKちゃんが全部終わってお片付けしたらお兄ちゃんフルーツ食べるよ、そしたらKちゃんビリじゃないでしょ。」Kちゃん「うん!」とうなずき、お弁当を食べ切ったといいます。
 大人でもO君のような言葉を発することは難しいと思います。「待っているから大丈夫。」とは誰でも言います。でも幼子が自分の好きなものを我慢して、年少のKちゃんを慰めることに、私は感動で涙がでました。「心の育ち」は見えにくいもの、言葉に発してくれたからこそ理解できた一瞬です。「ばぁば先生!」と言われる私は毎日幸せです。
 それから一週間後、突然Kちゃんの母親から連絡があり、「主人の転勤が決まり東京に行くことになりました。1学期にて退園させてください。」
 Kちゃんのクラスは静か(?)になった。子ども達は「さみしいね。」と口々に言ってくれる優しい子たちです。
 
 ある日、何気なく見ていたテレビでのこと。新聞に連載中の4コママンガ「コボちゃん」の話。
  1コマ目・・・風船をもらい喜ぶコボちゃん
  2コマ目・・・近くにいた女の子も手に風船
  3コマ目・・・その時女の子は風船を誤って手を放し空へ
 
  4コマ目に入る前に 視聴者と出演者に問いかけ
  「さてコボちゃんはどうしたでしょうか?」

 夫と私は「女の子に風船をあげる。」とテレビに向かって発する。 ところが・・・

  4コマ目・・・コボちゃんも風船を空へ。並んで飛んでいく風船を見て
        「ほらこうしたら風船も一緒でさみしくないでしょう!」

 優しさにはいろいろ・・・ 作者の意図するところが感動として伝わってきました。

 そして思い出したのです。O君がKちゃんにお弁当の時にした優しさが・・・
 またまた涙が出ていました。Kちゃん今頃どうしているのかな?元気にまた大きな声で泣いているのかな?東京の幼稚園のお友達、Kちゃんのことよろしくね。